らくだのりずむ

マイペースに。本や映画や音楽のはなし。

三島由紀夫「命売ります」感想

こんばんは。

危うく三日坊主になるところでした。。

せっかくブログ始めたので書けるとき書かないと!と思い出して、今書いてます(笑)

 

三島由紀夫の「命売ります」を先日読みました。

 

 

三島由紀夫「金閣寺」しか読んだことありませんでした。

きっかけはラジオで爆笑問題太田光さんが若い女性に勧めたい本だと話していたので興味を持ったのですが、結構面白くて、雰囲気は少し堅いですが、主人公の心理描写などがとても細かく緻密で、想像力が働きます。こういうのが純文学なのかな、という感じがしました。

今回の「命売ります」は、「金閣寺」とは少しテイストが異なり、もう少し気楽に読めるハードボイルド小説という感じです。

 

あらすじとしては・・(裏表紙より)

目覚めたのは病院だった、まだ生きていた。必要とも思えない命、これを売ろうと新聞広告に出したところ…。危険な目にあううちに、ふいに恐怖の念におそわれた。死にたくない―。三島の考える命とは。

 

個人的な感想は、他の三島作品とはかなり雰囲気を変えてきている小説だとは思うけど、結局は似たようなことを言いたいのかな、、という印象でした。

人それぞれ作品の感じ方は異なると思うのですが、「金閣寺」では放火した少年の生きる虚しさを乗り越えようとするイメージが最後に伝わってくるように感じました。

 

この作品では、会社に所属し俗社会の中で淡々と当たり前のように生きていると、「生きている」という感覚がなくなってきて、ある日自分の人生が意味のない価値のないものだと思うようになり、死のうと思う。

でも、会社を辞め命を売る活動=社会に属さず自由意志で生きる…ようになると、今度は本当の意味で「生きている」ことを実感し始める。そして「生きている」からこそ「死にたくない」「もっと生きたい」と感じ始める…ということではないかと思いました。つまり淡々とした毎日の中で、私たちは本当の意味で「生きて」はいないのかもしれない・・・

 

うーん、そう考えると深い話だな。

でも、そんな風に考えなくても、気軽に楽しめる素敵な小説だと思います。

とてもおすすめです。

 

ナイト・シャマラン監督「スプリット」感想

こんばんは。

ナイト・シャマラン監督の最新作「スプリット」を観てきました。

公開されたら観よう観ようと思ってて結局ギリギリになってしまった。

シャマラン作品は正直当たりはずれもあるし、後からDVDでも良かった~って思ってしまうような気もしていたのだけれど、やっぱり観に行ってしまった。

 

でも思ってたより(期待したより)ずっと良かった!

いや、なるべく好きな監督の映画はがっかりしないように期待しないで観るのがベストで、まぁまぁかちょっとダメくらいかな~って感じで観たので、まぁまぁというか割と良かった(笑)

 

http://split-movie.jp/news/wp-content/uploads/sites/26/2017/04/split.jpg

 

今回は多重人格(解離性同一性障害)のお話。ある日女子高生3人が男に誘拐され監禁されてしまうが、犯人は23もの人格を持っていた。最初は潔癖症の神経質な男だったのが優しい女性に変わり、かと思いきや9歳の男の子になったり…彼女たちはなんとか脱出を試みるが。犯人のたくらみ、人格同士の関係性など少しずつ明らかになっていく。

いろんなレビューでみなさん言ってますが、この犯人役のジェームズ・マカヴォイという役者の演技がすばらしいです。ころころ人格を変える様は、本当にいろんな人が入れ替わってるみたいだったし、狂気じみた笑顔や体の動きなど、存在感を出してます。彼の演技だけでお腹いっぱいです!

 

またストーリーそのものも展開が読めずどんどん引き込まれていき、ホラーでありミステリーであり、主人公の女の子が可愛くて、全体的にも良かったです。

 

シャマラン作品を観て毎回不思議だなぁと感じるのは、ホラーやSF映画として観始めてもいつのまにか違うものを観てるような感覚になることです。

「サイン」という映画も、SF映画としては評判はあまり良くなかったみたいだけど、そういうジャンルに縛られず観れば単なる家族の話で、普通に感動して終わるし。でも胸に何かは残るし。これもホラーとして観てみたけれど、進んでいくにつれて人間の内面あ的な世界にいってるような別の感覚になってきて、それが私は面白いなと思うのです。

 

何故か最後に「アンブレイカブル」との続編予告が出てきて、なんで?とか思っちゃったけど、このなんで?感も、シャマランの好きなところかもしれない(笑)

そもそもなぜ今多重人格なのだ。。?

 

ちなみにシャマラン監督、自分の作品に自ら出演することで有名ですが、

今回もばっちり居ましたね。画面に出てきたときは笑いそうになったけど、映画館だったので声は抑えました。。(笑)

 

それはさておき、「スプリット」ぜひご覧になってください!

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西加奈子「さくら」読書感想

こんばんは!

今日は、最近ハマってる西加奈子さんの「さくら」を読んだ感想を書きたいと思います♪

 

 

西さんは、「窓の魚」という作品読んで以来ハマってます。

とても正直でまっすぐなひとなんだろうな、と作品を読むたびに感じます。

 

今回は、デビュー作の次に出したという「さくら」ですが、

これは主人公の実家で飼ってる「サクラ」という犬の名前からとっています。

西さんちにも昔犬がいたようですね。私の実家にもいました。

いずれもすでに他界してますが、小さい頃から飼ってたので思い出深いです。

 

言ってみればこれは家族の話です。

自分という存在が形成されていくにあたって、そのあらゆる要素は何かと考えるとき、

やはり思い浮かぶのは家族や小さい頃の環境でしょう。

すぐそばにいた両親や兄弟姉妹の存在。

どんな家に住んで、どんな友達がいて、どんな遊びをして、

どんな街に住んで、どんな人々に出会ったか。

どんな言葉を掛けられたか。

「さくら」の中でとても印象深いのは、割と冒頭の方に出てくる、「誰のものでもない花」です。

主人公の薫と兄の一(はじめ)は、初めての女の子(つまり妹)が産まれると知って、何かプレゼントしようと計画する。そうだ、花をあげようということになる。

でも、母が大事にしてる花壇から花を摘むと母を悲しませるということを経験上知っていた二人は、摘んでも誰も悲しませない「誰のものでもない花」を探すため遠くの公園まで探検しにいくのである。

結局、その遠い遠い公園で見つけたのは、ホームレスのような老人に言われた「誰のものでもない花はないんだ」という言葉。

 

私が西さんの好きだなと思うのは、こういうところだ。

子どもの頃なら当たり前のように疑問に思っていたことが、大人になると当たり前のようになんとも思わなくなる。

でも、実はそういうことって、本質的な問いかけが多くて、逆に答えが出づらい問いかけでもあるんだけれど、きっとじっくりと考え始めればとても大切なことに行き着くような、胸にじんわりと届くような、そんなものだったりする。

もちろん良い思い出だけじゃない。

悲劇もある。

そんな経験すべて、記憶すべてが、自分なんだと思った。

 

西加奈子さん「さくら」

ぜひ読んでみてください!

映画「メッセージ」観てきました!

映画『メッセージ』(原題:Arrival)

「メッセージ」は、テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」が映画化された作品です。

脚本:エリック・ハイセラー

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

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※なるべくネタバレしないよう注意しながら感想を書くつもりですが、

これから観るつもりの方は、何も情報がない状態で観るのが映画としてはベストだと思ってるので読むのをご遠慮いただいた方が無難かもしれません。

 

【あらすじ】

ある日突然、巨大な飛行物体が地球へ降り立った。言語学者のルイーズは、飛行物体に乗った謎の生命体と意思の疎通をはかり、彼らが地球へきた理由を探っていくのだが・・・。

 

【感想】

久しぶりのSF作品でしたが、映画館で観て良かった!!

こういった宇宙人が地球に来るという映画はいっぱいあって、そのたび賛否両論ありますが(汗)〈特に、宇宙人や宇宙船のビジュアル的な問題とか。。〉私個人としては、今回はかなりレベルの高い、というか、観て良かったと思えるようなものでした。

 

主人公である言語学者のルイーズが”彼ら”と意思疎通をはかる手段を探っていく過程というのがまた面白くて、さすが学者だなぁと感じました。まったく未知の、しかも地球外の生物と接触するということは、いろんな角度からものを考えていかなきゃいけない。まず相手に意思があるのか?本能のままに動く生き物だったらそもそも意思疎通して来た目的を聞く行為自体が無駄ですから。自分たちは人間と言って一人ひとりに名前があり、歩いたり食べたりするという単純で初歩的な言語から教え、お互いの言葉を理解するところから始まります。

 

そんな感じで研究が進む中、ストーリーの中心である「時間」という概念について、作中何度もその言葉が当たり前のように登場するのですが、それが彼らが来た理由と深く関わってきます。

また、面白いことに「言語」と「時間」の双方も深い関わりがあるようです。

私は観ていて、人間が起こしている世界のあらゆる問題とも関係あるかもしれないなと思いました。例えば戦争・紛争とか、生死観や宗教、病気などです。

当たり前ではありますが、人は時間的に物事を考えていて、戦争なら「攻撃される前にこちらから先手を打とう」だとか、病気なら「病気にならないように健康に気をつかって生きよう」とか。でも、たとえばもっとその先の、戦争が始まってしまった後のあらゆる可能性、多面性、第三者への被害とか、想像しなければならないことは沢山あって。そう、「想像力」みたいなものが今後どんどん必要になってくると私は思っていて。うまく書けませんが、なんだかとても大きなメッセージなんじゃないかと感じました。

 

ちなみに原題「Arrival」の意味は、「到着」「出生」などです。


・・・果たして彼らは何を伝えに来たのか?

・・・「メッセージ」とは?

 

ぜひ映画館でご覧ください!!

 

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ブログ始めました!

初めまして。

saichan と申します。

このたびブログを始めることにしました。

どのくらいで更新できるか分かりませんが、、

映画や本や音楽のことなど、あれこれ綴っていけたらと思います。

よろしくお願いします♪