らくだのりずむ

マイペースに。本や映画や音楽のはなし。

西加奈子「さくら」読書感想

こんばんは!

今日は、最近ハマってる西加奈子さんの「さくら」を読んだ感想を書きたいと思います♪

 

 

西さんは、「窓の魚」という作品読んで以来ハマってます。

とても正直でまっすぐなひとなんだろうな、と作品を読むたびに感じます。

 

今回は、デビュー作の次に出したという「さくら」ですが、

これは主人公の実家で飼ってる「サクラ」という犬の名前からとっています。

西さんちにも昔犬がいたようですね。私の実家にもいました。

いずれもすでに他界してますが、小さい頃から飼ってたので思い出深いです。

 

言ってみればこれは家族の話です。

自分という存在が形成されていくにあたって、そのあらゆる要素は何かと考えるとき、

やはり思い浮かぶのは家族や小さい頃の環境でしょう。

すぐそばにいた両親や兄弟姉妹の存在。

どんな家に住んで、どんな友達がいて、どんな遊びをして、

どんな街に住んで、どんな人々に出会ったか。

どんな言葉を掛けられたか。

「さくら」の中でとても印象深いのは、割と冒頭の方に出てくる、「誰のものでもない花」です。

主人公の薫と兄の一(はじめ)は、初めての女の子(つまり妹)が産まれると知って、何かプレゼントしようと計画する。そうだ、花をあげようということになる。

でも、母が大事にしてる花壇から花を摘むと母を悲しませるということを経験上知っていた二人は、摘んでも誰も悲しませない「誰のものでもない花」を探すため遠くの公園まで探検しにいくのである。

結局、その遠い遠い公園で見つけたのは、ホームレスのような老人に言われた「誰のものでもない花はないんだ」という言葉。

 

私が西さんの好きだなと思うのは、こういうところだ。

子どもの頃なら当たり前のように疑問に思っていたことが、大人になると当たり前のようになんとも思わなくなる。

でも、実はそういうことって、本質的な問いかけが多くて、逆に答えが出づらい問いかけでもあるんだけれど、きっとじっくりと考え始めればとても大切なことに行き着くような、胸にじんわりと届くような、そんなものだったりする。

もちろん良い思い出だけじゃない。

悲劇もある。

そんな経験すべて、記憶すべてが、自分なんだと思った。

 

西加奈子さん「さくら」

ぜひ読んでみてください!